約 1,629,508 件
https://w.atwiki.jp/lord_of_vermilion/pages/362.html
シュクラケン No179 特殊技:スプレッドボム 前方円形・大 イラストレーター:タカヤマ トシアキ でした、編集お願いします。 -- (nanasi) 2009-01-13 18 55 30 ブルージェムじゃなくてブージャムだよ -- (名無しさん) 2009-01-13 19 07 22 ナーガNO178 イラスト:緑川美帆 編集お願いします -- (名無しさん) 2009-01-13 19 19 31 ブージャム No,181 全長:一定しない 重量:一定しない 生息地:心の隙間 武器:不安を煽る 捕食対象:困惑した感情お前と俺が、同じ形、同じ色、同じ匂いでものを感じていると証明するなんて、誰にも出来はしない。 だが、わかるよ。俺は、信じるよ。 「あれ」とあったものだけがするその表情。 あの時の俺の顔と、そっくり同じだもん。 スピードは2。スキルはゲートとサーチ。 ATK30 DEF40 特殊技は帯電コーティング 絵師は前川悠一 -- (名無しさん) 2009-01-13 19 36 48 ブージャムまで修正。でも、ブージャムのデータのところなにか一個抜けてません?カード持ってる方、確認よろしく。フレーバーテキストも改行適当です。指摘宜しく。 -- (名無しさん) 2009-01-13 20 22 58 エクストラコモンのスライム出ました光る以外違いなしです -- (えむえすまぁくつぅ) 2009-01-13 21 35 42 ブージャム修正しました。繁殖方法だった・・・。 あとナーガは20コスであってるのかな? 15コス? -- (名無しさん) 2009-01-13 21 54 35 ↑15コスです。 -- (名無しさん) 2009-01-13 23 08 36 ナーガ 全長5.0m 重量800kg 最高速度80km/h 生息域マゼンタ諸島近海 宿敵ガルーダ 捕食対象生きている獲物 脱皮したての新兵ども! 海兵とは何かを教育してやる!(改)絶対かなわぬ空の敵! だがあいつは立ち向かった!(改)波間から躍り上がり、敵のエースに食らいついた!(改)敵は慌てて空に逃げ、それきりあいつも帰ってこない!(改)だがあいつの墓はない! 我らナーガ海兵隊にとって、(改)あいつは五千年間、空中戦を継続中となっているのだ!(改)―アムリト遺跡の解読困難な碑文より -- (名無しさん) 2009-01-14 01 13 30 エクストラコモンのアリオーシュがでました。 銅枠のレアっぽくて NOのとこにEXC.064とある以外、コモンと同じ模様。 -- (お茶づけ) 2009-01-14 02 49 15 ナーガ追加しておきました。コメントも書いておいたけど、ちょいとネガり過ぎかも(´・ω・`) -- (名無しさん) 2009-01-14 03 59 22 ブージャムのとこにC(コモン)が書いてないよ -- (名無しさん) 2009-01-14 07 20 35 ローレライは+40だと思います。わだつみに掛けたらDEF86→126になりました。3回やって確認しましたが、もし見間違いだったらごめんなさい( _ ) -- (名無しさん) 2009-01-14 17 41 55 ローレライ・ブージャムの効果時間、解る人いませんか? -- (名無しさん) 2009-01-14 18 14 56 シュクラケン 全長:50m(成体) 重量:不明 移動力:潮流次第 生息域:北方の海 知性:きわめて高い 捕食対象:近づくもの全て 見張りが叫んだ。「あの島を見ろ! 黄金でいっぱいだ!」(改行)水夫長が叫んだ。「あの島を見ろ! 美女が手招いてる!」(改行)船長が叫んだ。「上陸するぞ! この発見は勲章ものだ!」(改行)生き残ったのは年寄り水夫。海に飛び込み、泳いで逃げた。(改行)「みんな自分の夢をぶら下げられて、誘われてっちまった。(改行)あれが島なんかじゃねぇのはすぐにわかったさ。なにせ手招き(改行)してやがったからな。何年も前にこの手で殺した女房が…」 -- (名無しさん) 2009-01-14 21 45 13 ごめん、シュクラケンの修正 きわめて→極めて 近づくもの全て→近づくものすべて -- (名無しさん) 2009-01-14 21 47 17 ブージャムは試していないからわからないけど、ローレライの効果は3Cだった。アンヘルの効果も3Cだし、単体効果の時間変わったのかな…? -- (名無しさん) 2009-01-14 21 50 52 単体防御は多分3c…というか10秒が基本。テティスもそうだったはず。 -- (名無しさん) 2009-01-14 22 48 15 アルビオンの説明部分、画像を参照したので読みとれない部分が多々あります。??にしてありますので、分かる方、修正or指摘頼みます。 -- (名無しさん) 2009-01-15 10 39 32 ナーガの説明で玄武とほぼコンパチって書いてあるけど、速度と特殊の種類以外共通点が見当たらないんだが -- (名無しさん) 2009-01-15 11 25 57 DEFとATKがひっくりかえってるっていいたいんじゃないか?>ナーガと玄武 -- (名無しさん) 2009-01-15 12 31 29 同コス罠持で比べたいのはわかるが… -- (名無しさん) 2009-01-15 12 45 44 【】カードを「コンパチ」と表現してるのは間違いかと. 互換性(compatibility)が無いので寧ろ逆. -- (名無しさん) 2009-01-15 20 59 15 とはいえ、こういうときによく使われるのは「使いまわし」の意味じゃないかね。【】よりはロレライとかが当てはまるけど -- (名無しさん) 2009-01-15 21 07 33 使いまわしをコンパチって言ってるのが間違いだろ。 -- (名無しさん) 2009-01-15 23 53 58 日本語って難しいね・・・、本文ちょっと修正。これで海種のページは一段落でしょうか。終わってみると、追加これだけなんだなぁと実感してちょっと悲しくなる・・・・。 -- (名無しさん) 2009-01-16 01 45 24 次のUpDataは海種機甲祭りでありますように・・・と願います。でなければ悲しすぎます・・・でもローレライには期待大です。 -- (名無しさん) 2009-01-16 14 40 59 ↑いや、海種は結構良かった方じゃない?超はイカレてるぐらいきたけど… -- (名無しさん) 2009-01-16 20 17 42 【憤怒】アルビオンの趣味ワロタw憤怒のとおせんぼって(´△`;) -- (名無しさん) 2009-01-17 02 08 31 新カード無くても海のみで韋駄天区mwる -- (?) 2009-01-17 09 36 28 ↑おちつけw -- (名無しさん) 2009-01-17 15 04 34 ↑×3 Ver.1.0の頃からの趣味ですね。「とおせんぼ」 -- (名無しさん) 2009-01-20 16 57 59 ブージャムって、どう考えても機甲用客将使い魔だよな -- (名無しさん) 2009-01-20 21 17 18 確かに客将カードな感じはありますが、自分はニクサーとセットでよく使ってますよ<ブージャム(相手に雷なかったら泣けてきますが・・・) -- (大海の巨鯨目指して猛進中) 2009-01-20 21 58 31 リリスは単攻も短くなるんだから、憤怒バインドもサクリ使用後は敵プレイヤー弱体ぐらいサービスしてもいいのに -- (名無しさん) 2009-01-23 22 09 45 ↑そうだよね。開幕サクリされた後、憤怒の特殊技の使い道ないし・・・ -- (名無しさん) 2009-01-23 22 40 18 ↑むしろ、サクリ禁止で安定ですよねー -- (名無しさん) 2009-01-25 14 00 55 ↑ミス!サクリ解除、の間違いです -- (名無しさん) 2009-01-25 14 01 23 ですよねー -- (名無しさん) 2009-01-25 17 33 00 開幕サクリは読めない上に特殊が貯まらないからなぁ -- (名無しさん) 2009-01-25 17 33 42 シュクラケンの特殊でドタドタとコッチくるのがキモかったw -- (名無しさん) 2009-01-29 04 34 07 憤怒アルビの禁止時間1/29アップデートで短くなったようです。 -- (名無しさん) 2009-01-29 21 13 33 え~。。。何故に効果時間低下・・・ -- (物見(仮)) 2009-01-30 00 48 41 てか、憤怒のコメントの攻撃力50がボーダー云々はなんのことだ?わだつみ、リヴァ、アルビオン、クラーケン、みずちとかいるだろ。 -- (名無しさん) 2009-02-01 01 29 12 ↑ver1.1から追加された全ての海使い魔見てみ。55以上一体たりともいないから。初期のは別だけどね。 -- (名無しさん) 2009-02-01 07 20 45 ↑×2と3 逆でしょ。伸びたんじゃないの -- (名無しさん) 2009-02-02 13 58 19 ×3と4だった二重すんまそ… -- (名無しさん) 2009-02-02 14 09 03 8cくらいに伸びたとか。溜まってれば、割と早めに打っといてもいい時間じゃないかな? -- (噂好き) 2009-02-02 15 34 11 憤怒アルビについて訂正します。確認した所、7c、8cぐらいに伸びてました。 -- (名無しさん) 2009-02-07 01 42 10 一番上になぜかかかれてたコメントを転載。「海種Ver1.2は追加5種の内、3種が撃、2種が炎の攻撃属性を持ち、魔種、超獣&亜人への対応力が上がった。残念ながらシールド持ちが追加されなかった為、数少ないシールド持ちのアルビオン、オケアノスはまだまだ海単で現役続行。というか炎撃の追加しかなかったため、現状超亜魔以外は、コスト以外のデッキ構成はほぼ変わらない。海機甲の開発担当、もっと発言力をUPして頑張ってくれ・・・スキル無しだがローレライが他種1TOP型デッキへの客将候補となりうるか・・・今回SR追加が無い。スクエニには機甲と共に待遇改善を要求するべきか・・・」 -- (名無しさん) 2009-02-12 13 37 12 う~ん炎 -- (名無しさん) 2009-02-12 14 52 22 正直ローレライ以外いらんわ -- (名無しさん) 2009-02-15 10 02 23 俺は炎罠いいからナーガとかも好きだがな。っていうか、SRないけど海種別にどれも言うほどひどくないけどなぁ…シールド持ち追加なかったのは確かに残念だが種族ボーナス減ったし客将いれやすくなったからまぁいいや。と、思った -- (名無しさん) 2009-02-15 10 47 31 ↑? シュクラケンは強いですよ?他は知りませんが… -- (名無しさん) 2009-02-15 11 05 43 連続で申し訳ない ↑2ですね -- (名無しさん) 2009-02-15 11 07 44 シュクラがサーチあれば希望が少しは持てたのになぁ… -- (名無しさん) 2009-02-15 21 59 00 サーチ有無だけで希望無くすなよ…w -- (名無しさん) 2009-02-15 22 59 56 シュクラケン、壁になる以外はアクアライダーの弱体版です。せめて4速にするか単体大ダメにしろよ~ -- (名無しさん) 2009-02-16 17 45 05 弱体じゃないですよ。一応パラは上がってる。ただなんで壁範囲二枚?という疑問は確実にありますが。 -- (名無しさん) 2009-02-16 19 56 34 シュクラケン&クラーケンのWクラゲ強いぜ!! -- (名無しさん) 2009-02-23 14 17 17 ↑イカじゃ・・・なかったの・・・か? -- (名無しさん) 2009-02-23 23 59 39 憤怒のコメの長さがすごいなw -- (名無しさん) 2009-02-24 14 22 33 アルビオンだが何故他の種族、別属性と比べる?比較対象ならまだバハやおろちだろうに… -- (名無しさん) 2009-02-24 14 55 49 個人的にアルビオン比較するならスカドラやラースだと思ってる、相手に罠持ちいないと元々特殊が死に技だしさ、それに30コスの罠解除じゃ玄武とか大体食らうよね、だからラースとかはほとんど攻撃面しかみられてないしアルビオンも炎複数を頑張って使ってサクリ封じが上手く決まったらラッキー程度にとらえれば実用範囲かと思います(悪魔で個人的意見なのであしからず -- (名無しさん) 2009-03-07 13 32 30 憤怒のコメント書いた者です。長くてスマンw 文章書くの好きなもので・・・。レナスの辺りは誰かが追加した一文ですね。まぁ、25コスの複攻と言う事で比べたかったのかもしれませんけど。あっちはあからさまに優遇スペックですから。スキル面で見ると、ラースあたりと比べるのがいいような気がするのは自分も同意。ただ、ラースと違って、使いドコロを自分で選べるのが憤怒のいいところかなぁと。とりあえず戦闘開始でかけとこう的な運用はやはり便利。ヨルムン、愛染、ドワーフなどを(一定時間内に)安全に落とせるようになるのはやはりでかいですわ。 -- (名無しさん) 2009-03-08 18 54 26 憤怒・・・オナ兄とは比べられないって事ですね -- (名無しさん) 2009-03-09 01 54 22 憤怒のコメント長すぎwあと60複数のリヴァイアサンが居るじゃないか -- (名無しさん) 2009-03-09 01 56 55 リヴァイアサンはニコ動に上がってる勝率4割ていう題名のを見てみれば中々良さが分かると思う -- (名無しさん) 2009-03-09 02 53 18 憤怒・・・・使われない使い魔の考察が使われる奴の倍以上か・・・・、海は愛されてるな -- (名無しさん) 2009-03-09 02 54 35 【優雅】ポセはちょっとした壊れの予感。効果時間次第では…まぁどうせ即修正乙だが -- (名無しさん) 2009-04-02 11 29 05 【】ポセ特殊もいいけど4速でC20炎40複のところが個人的には嬉しいな。デッキの幅広がりそうだわぁ -- (名無しさん) 2009-04-02 19 59 32 新ポセは炎複数ATK40DEF40スキルなしだったか。テティスと合わせると50コスがスキルなしになるのか…。4速行動したいけど海に4速サーチって何が居たっけ。海神と水乗り少女は覚えてるけど。 -- (名無しさん) 2009-04-02 20 37 09 試した人に聞きたいのだけど、防御補正って、スキルで増やしたぶんも効果対象?たとえば相殺波紋とか、アシストコーラス併用しても、前ほど効果なし? もしそうならスキル自体が死にスキルになりかなねないのだが。。。 -- (名無しさん) 2009-04-26 03 53 36 ↑乱戦状態だったんで微妙なんだが、波紋+アシスト状態のテティスが弱点突かれずに殴られて2桁くらったよ。そんでも10〜20くらいだけど。 -- (名無しさん) 2009-04-28 05 41 04 主にver1.3対応の文章を、色々追加しておきました。 -- (名無しさん) 2009-06-01 07 38 57
https://w.atwiki.jp/newimperatorgiren/pages/1053.html
アルビオンが開発、生産されるまでに終戦を迎える可能性が高いので、実質これが最後に見かける船。一年戦争というシナリオ的にも問題なし。性能は優秀だが、相手にゲルJやケンプがわんさかいるため慎重に使わないとあっけなく落ちる。AIは戦艦に寄ってくるのでなおさら。装甲に振って少しでも耐えさせよう。移動距離もそんなないので装甲5もあり。 - 名無しさん 2018-02-14 15 01 02
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6044.html
前ページ次ページナイトメイジ 洞窟の中は静かに、ただひたすらに静かだった。 死者はなにも語らず、死者と語らう姫君はなにも口にせず、それを見下ろす少女もまた沈黙を守っていた。 それを破るのはベール・ゼファー。 全てを知っているような声がルイズとアンリエッタの耳に滑り込む。 「終わったみたいね」 「どこ行ってたのよ」 「ちょっと、ね」 戻ってきたベルは1人でない。 「なんで、王党派の王子が?この方は本当にトリステインの王女様なんですか?いったい何が起こってたんですか?」 と、うろたえる竜騎士の少年を連れていた。 ベルはその少年を下から──少年の背はベルより頭2つ弱ほど高い──小突いて黙らせる。 「足を調達して来たのよ。空の上からトリステインに帰るには必要でしょ」 「そうだけど……」 「それなら帰りましょう。行き先はトリスタニアでいいわよね?」 何か言いくるめられたような気がしたが、ここにいつまでもは居られない。 文句を言ってやりたいのをぐっと押さえたルイズの了承はアンリエッタの声で遮られた。 「まずラグドリアン湖に行ってください」 風竜が雲を突き破ると視界は一気に開ける。 前には少し陰った空、下には広がる雲。 このままアルビオンに残し、再びクロムウェルの手で蹂躙させたくない。 そのアンリエッタのたっての願いによりウェールズ王子の遺骸は風竜に乗せられ、別れを惜しむ彼女の手に抱かれている。 強く吹く風が周りの雲を掃き散らかし、遙か後ろの巨大なアルビオン大陸の姿を明らかにした。 だが絶えず霧に包まれる大陸がそのベールを外すのはわずかの間。 アンリエッタが見つめるうちに再び雲は折り重なり、大陸をその中に飲み込んでいった。 ルイズはそんなアンリエッタの姿を彼女が再びウェールズの遺骸に目を移すまでじっと見つめ続けていた。 どこまでも広い水面を持つラグドリアン湖は、どこまでも静かにどこまでも続く夜空を鏡のように映していた。 この静けさと空から見下ろす二つの月と同様に、この地はアンリエッタとウェールズがかつて愛を誓いあった時のままのように見えた。 ──本当に? 変わってしまったのかも知れない。 ルイズには知らないうちに世界が変わってしまったように思えた。 そう、変わらないものなどない。 太古の昔からあるはずのラグドリアン湖も姿を変えているではないか。 三年前、湖のこの畔に来たときには岸からほど近いところに大きな岩があった。 今はその岩はもう姿が無く、かわりに沖合に以前はなかった岩が小さく頭を見せている。 アンリエッタはその岩と青い月の重なる水面にウェールズを横たえた。 既にその体には温かみは欠片も残っておらず、冷たい湖水の一部になったよう。 杖とルーンにより紡がれたアンリエッタの魔法は無数の波紋を作る。 やがて波紋は波となり、その中にあるウェールズの遺骸を湖の底深くに連れ去った。 「これでもう誰もあなたを操ることはできません」 アンリエッタは濡れた片手を空に掲げる。 「誓約を聞き届けるというラグドリアン湖の水の精霊、そして水のルビーに誓います」 その指にある水のルビーが蒼月の光を受け、青く輝いた。 「ルイズ、あなたも証人になってください」 ルイズは頷き、アンリエッタの声を一つも聞き逃すまいと耳を澄ませる。 「私はいずれ再びアルビオンに戻りります」 アンリエッタは口をつぐみ、下唇を噛む。 その痛みを持って心に深く誓いを刻み込んだ。 「そして、簒奪者クロムウェルに報いを与えましょう」 「姫様」 ルイズもまたアンリエッタの誓いを心に刻む。 「私も手伝わせていただきます」 それはルイズ自身の誓いとなった。 その夜もトリステインの王宮は平穏の中にあった。 近々戦争が起こるという噂が流れ、衛士による警備は以前に比べ厳しくはなっていたものの静かであることには変わりない。 ただ残念なことに彼らは密かに城内に侵入した者達に気づいておらず、しかもその侵入者達は事もあろうに彼らが守るべき王女の寝所にいた。 もっとも、その侵入者達とは王女自身であったのだが。 「そういえばルイズ、一つ聞きたいんだけど」 「なに?」 無事、戻ってこれた。 この部屋に着いてやっとそれを実感する。 同時に体に積み重なった疲れが一気に吹き出した。 体が重くて床に座り込んでしまったしいるし、変わり身をしていたシエスタに手伝わせてメイド服から王女としての服に着替えているアンリエッタの足下もどことなくおぼつかない。 そこに話しかけてきたのが一緒に戻ってきたはずなのにまだまだ元気なベルだ。 「ルイズって魔法が使えなかったんでしょ」 「そうよ」 「いつの間に使えるようになったの?」 「いつの間にって……」 「ほら、何かきっかけがあったんじゃない?」 「きっかけ……」 最初にディスペル・マジックを使った時にルイズはアンリエッタと供にニューカッスル城にいた。 その前に何があっただろうか。 ルイズはそれを思い出そうと目をつぶった。 まぶたが瞳を覆い、闇が訪れる。 そう、あの時ルイズは闇に似たものの中にいた。 その中でルイズにルーンをもたらしたものがあった。 目を閉じたままルイズはゆっくり考える。 ──あれは確か…… 「オルゴール」 「オルゴール?」 「そう、オルゴールの音が聞こえてきたの。それと一緒にルーンが聞こえてきて、それで使えたの」 「オルゴール……ね」 今度はベルが考える番だった。 組み直した足に蹴られたスカートがばさりと音を立てた。 「そんなの聞こえなかったわよ」 「聞こえてたわよ。そうよ、歌も聞こえてたわ」 「歌?」 「そう、こんなの」 神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右につかんだ長槍で、導きし我を守りきる。 神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。 神の頭脳はミュズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知恵をため込みて、導きし我に助言を呈す。 そして最後にもう1人……。記すことさえはばかれる……。 四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。 その歌は一度しか聞いたことがないはずなのに思いの外すらすらと思い出せた。 いや、本当は何度も何度も聞いていたのかも知れない。 魔法で心を縛られている間、ルイズに目覚めろ、起きろと何度も何度も。 「それなら」 ベルが窓に駆け寄る。 大きく開けると冷たい風が吹き込んだ。 「行きましょう」 「どこへ?」 「もちろんアルビオンへ」 「ちょっと!待ちなさいよ」 ルイズは慌ててベルを止める。 冗談ではない。 本当に冗談ではないのかもしれない。 この使い魔は冗談のようなことを言う時ほど本気のことがある。 「今からアルビオンへ?無茶言わないでよ。危ないわ」 「いいじゃない。そのルイズには聞こえて、私には聞こえない音を出すオルゴールはルイズが魔法を使えるようになった鍵なのよ。持ってきてないんでしょ」 「そうだけど、前よりずっと危なくなっているわ」 「そのくらい何とかなるわよ」 「そのくらいって!」 そのくらいをどのくらいと思っているのかはルイズにはわからないが、とにかく今のアルビオンは以前とは比べものにならないくらい危険になっているはずだ。 しかし無謀にもこの使い魔はそんなものはお構いなし。 必死で止めるのも聞かず、それどころかルイズの手を掴んで窓から飛び降りようとまでする。 「お待ちください」 アンリエッタが止めなければ強引なベルは本当にルイズをアルビオンに連れ去っていたかも知れない。 「ベール・ゼファー様。今、アルビオンに行くことは私も反対です」 「でもね、ルイズの魔法に関わるのよ。使い魔の私としては……ね」 「なによ」 「べつに」 横目で見られてルイズは何となく嫌な気分がした。 「オルゴールの変わりのものがあります」 「……へえ」 目の色を少しだけ変えたベルが窓から離れ、机のそばの椅子を引っ張ってそこに座る。 手を離されたルイズは座る場所もなく、そのまま立っていた。 「音のでないオルゴールには心当たりがあります。おそらくそれは始祖のオルゴールです」 「それで?」 「実物は私も見たことがありません。ただアルビオン王家に伝わる壊れたオルゴールが始祖のオルゴールとして伝わっているという話を聞いただけです」 「で、そのオルゴールがトリステインにもあるの?」 「いいえ。ですがそれによく似たものがあります。始祖の祈祷書です」 「でも、姫様。それは……本当に本物なのですか?」 始祖の祈祷書。それはハルケギニアで最も多い始祖の秘宝とも言われているものだ。 一冊しかないはずの始祖が記したとされる祈祷書は、その実ハルケギニア各地に存在し、それを所有する貴族、寺院、王室、果ては詐欺師までもが自らの持つ祈祷書こそ本物であると主張している。 「多くの専門家はトリステイン王室に伝わる祈祷書は間違いなく偽物であると言っています」 「それじゃ意味ないわね」 「私もそう思っていました。ですが今のルイズとベール・ゼファー様の話を聞いて確信しました。我が王家に伝わる祈祷書こそ本物です」 「なぜ?」 「トリステイン王室の祈祷書が偽物と断定された理由は全てのページに何一つ書き記されていない事なのです」 「音の聞こえない壊れたオルゴール、誰も読めない白紙の祈祷書……そういうわけね。それで、その祈祷書は見せてもらえるの?」 アンリエッタは頷きながら答える。 「ですが、すぐにというわけには……。祈祷書は代々、王室の結婚式において使われたという意味において価値を持っています。ですから、それなりの理由で後日ルイズに貸し出すことになります」 「いいわ。それからもう一つ欲しいものがあるわ」 怪訝な顔をするアンリエッタを見ながらベルは言葉を続ける。 「ルイズがつけている指輪が欲しいの」 「指輪って、これ?」 ルイズの指にはニューカッスル城の教会からずっと風のルビーが嵌っていた。 「ねえ、ルイズ。クロムウェルが虚無の魔法を使った時のことを思いだしてみて。忘れてないわよね」 もちろん忘れるはずがない。 ウェールズを蘇らせた時も、心を操る魔法を使った時もクロムウェルの指にあった指輪が妖しく輝いていた。 「あの指輪も虚無の魔法の鍵ね。で、ルイズが魔法を使った時にもその指輪が手にあった。持ってた方がいいでしょ」 「でも、これってウェールズ様の形見よ。それなら姫様に渡した方が……」 「アンリエッタ、どう?」 アンリエッタの指にあるのは誓いと願いをかけた証の水のルビー。 それをきつく握りしめる。 「ルイズ、あなたが持っていてください」 「……預からせていただきます」 ルイズもまた重みを増したようにすら思える風のルビーを握りしめた。 「さてと」 ベルは笑みを浮かべながら窓から夜空を見上げる。 「次のゲームはどうなるのかしら」 人がいかなる事を思おうとも素知らぬふうに、月と星がそこにあった。 月に照らされる巨大な宮殿。 ここはガリアの王宮グラン・トロワ。 その最も奥の部屋に作られたハルケギニアを模した箱庭の前に座る男こそガリア王ジョゼフである。 「ほう、ほう。なるほど。よく教えてくれたミューズよ。そのような者がいるとはな」 ジョゼフが話しかけるのは人間ではない。 さりとて知恵のある他の生き物でもない。 黒髪の女性を模した人形に話しかけ、その言葉に耳を傾けているのだ。 「さて、ならばいかにするか」 ジョゼフは人形を箱庭に戻し、椅子に深く座り直す。 「サイを振りなさい」 そばに控えていた小姓がサイコロを二つ降る。 「ナイトメイジか。ベール・ゼファーとやら。このハルケギニアというゲーム盤は既に私が使っているのだよ。そこに割り込みたいのであれば、ふさわしい指し手であることを証明してもらわねばな。まずはこの目を持って試させてもらおう」 二つのサイコロはやがて動きを止め、その目を合計した一つの数字を出す。 「ほほう、11。そうかそうか。それなら……」 王の声を聞き、動き出す者が闇にいる。 それを称して人は暗躍という。 ラグドリアン湖。 ここにも夜の闇に躍る者がいた。 「まだ死に切れていないようね。あの魔法の力?それとも愛の力?執念と言った方がいいかしら。 でも嫌いじゃないわそういうの。だから、あなたにチャンスを与えてあげる。あなたが望むなら彼女を守らせてあげてもいいわ。ただし、ただじゃないわ。けど悪い話じゃないでしょ。クロムウェルと違って取引なんだから。それでもいい?そう、なら変わりなさい。私の力で」 叫び声を上げたワルドは悪夢にうなされた自らの声で目を覚ました自分に気づいた ベッドに寝かされ、上を向く目にはロウソクの光に照らされた天井が見える。 光をたどり巡らせた視線が扉にむくと、それは耳障りな音を立てて開いた。 「目がさめたみたいだね」 揺らめく炎を映す眼鏡をかけたその顔にワルドは見覚えがあった。 元のサウスゴータ太守の娘というマチルダという女だ。 「どうなったのだ?俺は」 「ベール・ゼファーにやられたのさ。ひどい傷だったみたいだけど手加減してもらったみたいだね。明日には動けるようになるって話だよ」 「ぐっ!」 ワルドは悪夢を思い出す。 そうだ、ベール・ゼファーだ。 俺を打ちのめし、母の肖像を消した女。 「おのれ……必ず倒してくれる」 そばに立つマチルダがコップに水をくむ コップと一緒に差し出した彼女の声はやけにさめていた。 「まだやる気なのかい?」 「無論だ。このまま終わりはしない」 「そうかい」 ワルドはその声に何か含むものがあるような気がした。 ただ何となくではあったが。 「やつを知っているのか?」 「まあね」 マチルダは部屋に置かれている花瓶から花の一輪を取り上げ、指先でもてあそぶ。 「あんたがもう一度あいつと戦って、それでも生きていたら教えてやるさ」 花弁の一つ床に落ちた。 それは何かを暗示しているのだろうか。 マントと金髪を風になびかせ、その目を遠くに向ける男が崖に立つ。 その者は赤い月を背負うラ・ロシェールの大樹を見上げ、手に持つ薔薇の一輪にキスをした口で呟いた。 「遅いな……みんな。まだかな。早く帰ってこないかな。おーい」 その者の名はギーシュ・ド・グラモンと言った。 その頃のアンリエッタ 「何か忘れているような……」 その頃のちょっとお出かけしていたベル 「忘れているってことはたいしたことじゃないわよね」 その頃のシエスタ 「何かあったんですか」 その頃のルイズ 「どうでもいいことね。きっと」 前ページ次ページナイトメイジ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/887.html
早朝、ルイズ達はアルビオンに向かう準備をしています するとギーシュが提案しました 「僕の使い魔を連れて行きたいんだ」 地面から大きなモグラ、ジャイアントモールが出てきます ギーシュは「僕の可愛いヴェルダンデ!」と抱きつきます 可愛いかどうかは見る人が見れば可愛いのでしょう ですが地中をかなりの速度で掘り進めるヴェルダンデとはいえ行き先は空中に浮かぶアルビオン 即座にルイズから却下されます 却下したときヴェルダンデは少し鼻を嗅いですぐにルイズを押し倒しました 「ちょ、ちょっと! 何なのよこのモグラ!?」 ルイズは身体をモグラの鼻で突き回され、地面をのたうちスカートが乱れたりします 「いやぁ、巨大モグラと戯れる美少女ってのは、ある意味官能的だな」 「・・・なにをやってるんですか」 途中まで見ていたドッピオがヴェルダンデを止めにかかります ですがジャイアントモールの力は強くキングクリムゾンのパワーでないと止めれませんでした ヴェルダンデの目線はルイズの一部分に釘付けでその目先を見たギーシュがこう言いました 「なるほど指輪か。ヴェルダンデは宝石が大好きだからね。 よく貴重な鉱石や宝石を僕のために見つけてきてくれるんだ」 「なるほど『土』系統のメイジには役立つ使い魔ってことですか・・・あ!」 押して勝てないと悟ったヴェルダンデはすぐさま地中をもぐってルイズの前に現れます また押し倒そうとしたその時、一陣の風が舞い上がりヴェルダンデを吹き飛ばしました 「なっ、何をするだァ――――ッ! 許さん!」 ギーシュが杖を抜いてわめきます。怒りのあまり言語が田舎臭くなっています ドッピオは瞬時にエピタフを発動し『敵』ではないことを判断しました 羽根帽子の男は一礼をして名乗ります 「僕は敵じゃない。姫殿下より、君達に同行する事を命じられた者だ 君達だけではやはり心許ないらしい。しかしお忍びの任務であるゆえ、一部隊をつける訳にもいかぬ。 そこで僕が指名されたって訳だ」 帽子を取ったその男は自分達より十歳は年上と思われるダンディな髭の男でした 「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。 すまない・・・婚約者がモグラに襲われているのを見て見ぬフリはできなくてね」 「・・・婚約者?」 ドッピオは疑いの眼差しでワルドと、ルイズを見くらべます ルイズは確か十六歳のはずだ。まあこの世界なら婚約者というものがあってもいいかもしれません だがワルドはどう見ても十歳くらい年上です。ロリコンか、ヴァリエール公爵家の家名目当てか ドッピオはなんとなく後者・・・何らかのモノがほしいために婚約しているように思えました 何せそのワルドの顔がかつてのボスのように仮面を被った様な顔なのですから ルイズは感動の再会を楽しんだ後、ドッピオとギーシュを紹介しました ワルドは最初、使い魔が人間ということに少々驚いていたようですがそのようなことなど気にしないようでした (・・・この程度なら化けの皮は剥がれない・・・か) ドッピオのみがワルドに対し疑念を抱く中、彼らはアルビオンへと旅立つ事になりました ちなみにヴェルダンデは「行き先はアルビオンだから」という理由で結局置いてく事に ギーシュは本当に別れを惜しんでいましたがその後 「・・・地中を掘ってるなら途中までばれない・・・」 と呟き、出発しました。いたはずのヴェルダンデはどこかに消えていました さて、一行は各自の移動手段を持って急いでいます ルイズとワルドは一つのグリフォンに乗っています。ギーシュとドッピオは学院の馬に 道中、ワルドはルイズに甘いささやきを繰り返します ギーシュは確実に数日かかるということに「ああ、モンモランシー。君に数日も会えないなんて・・・」などと言っています ルイズはワルドの甘いささやきを聞きながら、チラリ、チラリと後ろを見ています 見ているのは大げさな演技をして笑いを取ろうとしているギーシュ・・・ではなくドッピオのほうです ドッピオは無言で馬に乗っています どうやら慣れていないようで自分の能力を使っているようですがルイズには分かりません 自分に対して反応の無さが、ちょっと癪に障る。理由は解りませんが 「やけに後ろを気にするね。まさか、どちらかが君の恋人かい?」 ワルドは笑いながら、しかし真剣な眼差しで言っているようです 「こ、恋人なんかじゃないわ」 「そうか、ならよかった。婚約者に恋人がいるなんて聞いたらショックで死んでしまう」 「で、でも・・・親が決めた事だし」 「おや? 僕の小さなルイズ、僕の事が嫌いになったのかい?」 「・・・嫌いな訳ないじゃない」 ワルドは憧れの人 幼い日、婚約の正しい意味を知らなくとも、彼がずっと一緒にいてくれると思って、嬉しく思っていました 今ならその意味が解り、結婚という意味も解っています アンリエッタの政略結婚とは違う自分達の結婚を ですがルイズは何だかとっても複雑な気持ちになりました いざ結婚となるとどうしても気持ちが違うような気がしてならなかったのです (私は・・・ワルドのことが・・・) 好きか嫌いか、どちらと言われると好きなのでしょう 結婚するのかしないのか、好きなのに結婚が純粋に望めない (・・・今は姫の任務の遂行。ワルドのことは後回しよ!) 自分自身に対する疑念を考えるうちに港町ラ・ローシェルに到着しました ラ・ローシェルは峡谷に挟まれるようにあり岸壁を彫刻のように彫った建物が多数見受けられます おそらく土のメイジが作ったのでしょう。しかし港町なのになぜこんな山地にあるのでしょう 疑惑を持ったドッピオは空を見上げます 「・・・なるほど、空の港と言うわけですか」 それは船でした。空中に浮かぶその船はまさに圧巻 (ヴェルダンデがいけないと言う事はアルビオンは空にあるわけですか) 一行はラ・ローシェルで一番上等な『女神の杵』という宿に入った瞬間 「ハァ~イ、遅かったじゃない」 「きゅ、キュルケ!? 何であんたがここにいるのよ!」 と、いきなりの歓迎を受けました 一階は食堂になっていて、タバサもキュルケと同じテーブルで本を読んでいます キュルケはいきなりワルドににじり寄り 「お髭が素敵よ。あなた、情熱はご存知?」 当のワルドはキュルケを拒絶するように左手で押しやりました 「婚約者が誤解するといけないので、これ以上近づかないでくれたまえ」 そう言ってルイズを見るワルド。視線に気づきつまらなそうな顔をするキュルケ 「婚約者?あんたが?・・・ドッピオー!あなたを追いかけてきたのよ!」 「見事な対応変換だね」 「うるさいわよ。ギーシュ」 即座に矛先を変えてキュルケはドッピオの腕にしがみついてきます いくら追い払ってもやめないことは分かっていますがそれでも一応の望みをかけて追い払います 「ひとまず離れてください・・・大体何で貴女がここに・・・」 キュルケは簡潔に答えてくれました どうやら自分達が出かけるのが見つけたためタバサに頼んでシルフィードで送ってきてもらったようで その本人、タバサもこちらの行動に興味があったようで不満の色は見せていません 船について出来ることがないので宿屋の食堂でドッピオ達がくつろいでいると桟橋へ乗船交渉へ行ったワルドとルイズが帰ってきました 「アルビオン行きの船は明後日にならないと出ないらしい」 仕方ないからそれまでの間この街で時間を潰す事となり、早速ではあるが宿の部屋割りがワルドによって決定され鍵を渡されました キュルケとタバサが同室。ドッピオとギーシュも同室。ルイズとワルドは同室 婚約者だから当然ではあるがルイズはかなり動揺の様子 そしてその夜、ルイズとワルドは同じ部屋へと消えていきました 食堂ではギーシュが自棄酒を飲んでいました 「モンモランシー・・・ケティのことは誤解だって言ってるのに聞いてくれないんだよ?」 「はあ・・・」 ドッピオはその自棄酒に付き合っています。ちなみに肉体年齢ならもうとっくに三十路を過ぎているので酒は飲んでも大丈夫 キュルケはどうしたものかしらと思いつつワインを飲み、タバサは見かけによらず大食いなのか食事を続けています 「しかし、まさかルイズに婚約者がいたとはなぁ……」 「あら、ルイズにも手を出そうとしてるのかしら?」 ギーシュの呟きに乗ってきたのはキュルケ一人でした 「やれやれ、何でそういう勘違いをするかな。単純に驚いただけだよ。 それにしてもルイズにはできすぎた婚約者だな。 女王陛下の魔法衛士隊でグリフォン隊隊長……憧れるよ」 「でもあんな髭ヅラのおじさん、私ならお断りよ」 ここまでルイズ達を追いかけてきた最初の行動はすっかり忘却の彼方らしい。 「まっ、確かに年上すぎるかな。何歳なんだろうね? 三十には届いてないようだが」 「殿方っていうのはね、ドッピオくらいの年齢が丁度いいのよ 青春の真っ盛り、尤も自分が輝くときが一番良いに決まってるじゃない」 「まあ確かに。でもルイズは年齢より幼く見えるからなぁ」 「・・・・・・」 「あら?ドッピオ、もしかして寝てる?」 「酔いが回ったようだね。まったくこのくらいの酒で目を回すなんて情けない」 ちなみに飲んだ量はワイン一本程度です 結局、自棄酒はギーシュがドッピオを部屋に運ぶということで終了し キュルケと食事を終えたタバサも眠りに付くことで任務一日目を終えるのでした
https://w.atwiki.jp/6war/pages/63.html
正式名称 / 統治体制 アルビス国 / 議員内閣制 エンブレム 自由を象徴した翼を数多く用いられたエンブレム。 基本情報 人口 約420万 宗派 多国籍な民族が商売目的で交わる為、特定の国教を設定していない。 特徴 アルファ、ロンドーナ大陸北部に位置する。商人の町であり、「世界の台所」と呼ばれている。 各都市は商業の発展と地域振興に躍起であり、様々な珍大会が毎週どこかで行われている。 発展からくる心の余裕からか、芸術や音楽に関しても造詣が深い。南北に面した海から様々な海路を作り出し、世界を相手に貿易をするが、その反面、行き過ぎた商業主義からあらゆる勢力と手を結ぶ為、「死の商人の巣窟」と揶揄されることもある。 小国が連合する形で452年に建国、世界各国を調べ尽くし、それぞれの国の「売りたいもの」と「買いたいもの」を徹底的に調べ上げ、売買の仲介をすることで莫大な利益を得た。このことから、国をあげて商業に力を入れていく。軍事力すら金で買えるとして、傭兵を中心に軍備を増強。本来流れ者である傭兵を「永久契約」することで土地に根付かせていった。 1700年頃からバーン国との小競り合いが増え始め、両国の仲は決裂。以後リアリッピ川を舞台として何度も戦うこととなる。 しかし、第4次リアリッピの戦いで大敗を喫し、両国の力バランスは大きく崩れる。ここから挽回する為、三国連合を組み、カオスギアの戦いにおいて、奇跡的な逆転勝利に成功し、バーン国はアルビス国の属国となる形で和平が成立する。 その後、北海連合同盟の盟主となり、この地域の事実上の支配者となる。 歴史 452年 小国が連合する形でアルビス国が建国される。 600年頃 各国の貿易の仲介を行ったことにより、莫大な利益を得る。ここよりアルビス国は、国をあげて商業方面に力を注ぐ。 1700年頃 隣国バーン国とこの頃から小競り合いが増える。 1737年時の勢力図(クリックで拡大) 1737年 バーン国との間でリアリッピの戦いが勃発。 1737年 8月、バーン国とアルビス国の間で第2次リアリッピの戦いが勃発。 1738年 4月、アルビス国とバーン国の間で第3次リアリッピの戦いが勃発。 1738年 11月、アルビス国とバーン国の間で第4次リアリッピの戦い、続いてストリアブの戦いが勃発し、大敗を喫する。 1739年 3月、三国同盟に対抗するため、アルビス国、アディス国、シーフィールド国の間で三国連合が結ばれる。 1739年 4月、アルビス国とバーン国の間で第5次リアリッピの戦いが勃発。 1739年 9月、アルビス国とバーン国の間でカオスギアの戦いが勃発。 1739年 11月、バーン国がアルビス国に降伏し、以後属国となる。 1740年 9月、リヴォル帝国とシーフィールド国が戦っている隙に、ミリアス攻略を実行する。 1741年 3月、アルビス国とリヴォル帝国の間でスカルオーネの戦いが勃発する。 1741年 8月、アルビス国とリヴォル帝国の間でリヴォルの戦いが勃発する。 1741年頃 北海連合同盟を提唱、自らその盟主となる。 1742年 2月、六界連合軍に参加、ルーイガルドへの遠征に軍勢を派遣する。 主な出身者 エリシア カルディナ リドラ ラギ レイス レクシア この国を舞台とした物語 LUNATIC DESTINY
https://w.atwiki.jp/30mmcolors/pages/10.html
キャラクター 「COLORS」試験運用研究所 エル アーサー 矢作 直人 矢作 元朱 黒アーサー 黒羽 イズナ ホノカ アサギ アスカ ゼロ マル ヒデヒサ・ナカザワ アヤネ・ナカザワ イーナ 長柄博士 永桜神国ロイヤルガード アル SW隊 エス サイラス第42開発室 リア ニュクス隊 クロエ キサラギ研究所 カグラ・キサラギ カナミ・キサラギ ハルト・キサラギ 開発一課 ウォン•リン ミルキークラウン隊 ミカ ミリー 第9技術開発部 ネル アサルトリシェ隊 アズキ・イーゾラ 「レメゲトンワークス」 ソフィ・レーナ レナ・リオス ティナ・リオス リーナ・アウス リサ・レモリー サラ・レモリー ミナ・カロル ミラ・カロル 遊撃部隊アルビオン隊 シェルミー・ノーラ タチバナ・カスミ バレンシア隊/欧州A王国 セトカ・バレンシア yos P Works. ブラン ブリュレ 第18技術開発 第二分隊 エメリア・シャンプール B連合皇国 クリスティーナ・レナートヴナ・メレフ 第204実験部隊“TEARS” ナナセ=セツナ エトナ・ロックフェルト メタルゴースト ユリア = フルメヴァーラ エステル = ケウルライネン 連合 オルドリン・ネージュ・ハウゼン アメリ・ヴァルトシュタイン レイラ・ティーマス ミューナ・カーン レイラ・ライトマン エレナ・ジョー 連合食堂 レイナ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8291.html
前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) 「それはどういういことアルか?」 出撃の直前。燕は自分の耳を疑った。 「お前たちは、もう日本やドイツには帰らないアルか?どうしてアル?」 信じられないという顔の燕。そんな彼女に、あかぎや、武内少将たちは 優しく笑ってみせる。 「……私は、ミッドウェイで沈んだはずだからね」 「ワシと加藤はニューギニアの陸軍に補給物資と少年兵を送り届けた後、 佐々木らを驚かせてやろうとラバウルに向かう途中で、じゃったな」 「そのとおり。まさか佐々木少尉がこっちにいるとは思いもしませんでしたが」 「私はベルリンに侵攻したソ連機甲部隊を攻撃し、敵戦爆連合に突撃したな」 「……オレも沖縄に向かう特攻隊を護衛した後、任務を終えた母機を 逃がすために米艦上機の群れに突っ込んだ」 「私は、『震電』の完成が間に合わなかったために散っていった搭乗員たちに 詫びたはずでした。 気がつけば回していない発動機が全開で砂漠を飛んでましたけどね」 冗談でも言うように皆笑っていた。まだ信じられない燕の頬を、彼女と 視線を合わせるようにかがみ込んだあかぎが優しく包み込む。 「私たちは、自分の意思で決めたの。でも、燕ちゃん、あなたは帰らなきゃダメよ」 燕は裴綻英と霍可可に目を向ける。二人も、笑っていた―― その日。空は澄み渡るように晴れ上がっていた。 クロステルマン伯爵領とガリア王国の間に横たわる国境線。 それはラグドリアン湖に続く一本の川だ。川を挟んで広大な草原と麦畑が 広がり、その向こうに緩やかな稜線が見える。平時であれば麦畑で作業する 農民たちと、時折鳶の声がするくらいの静かな場所は、今、かつてない 緊張に包まれていた。 「……陛下。トリステイン全艦隊の配置が完了致しました」 トリステイン王国空軍艦隊司令長官であるハイデンベルグ侯爵が告げる。 ここはトリステイン王国艦隊の旗艦『ラ・レアル』の指揮所。 トリステイン艦隊は武雄たちからの情報を検討し、主砲の射程が長い 戦列艦以外のすべての艦を下がらせた。近づく前に撃沈されるのでは 意味がないからである。だが、今回の作戦に参加する『ラ・レアル』以下 十隻の戦列艦も、有効射程四千までどれだけの艦が生き残れるかは 神のみぞ知る、だった。 「アルビオン艦隊はどうか」 「はっ。旗艦である巡洋艦『イーストウッド』を先頭に、単縦陣で我が 艦隊に追従しております。 ですが、陛下。たった三隻の巡洋艦では……ジェームズ一世陛下も、 何故戦列艦を我が国に送って下さらなかったのでしょうか?」 ハイデンベルグ侯爵は指揮所のある船尾楼甲板からずっと後方に位置する 異質な巡洋艦に目を向ける。王は、ただ「知らぬ」と答えることしか できなかった。 それは、傍目にも奇妙なフネだった。 巡洋艦らしくスマートな船体に長期航行にも耐える大型のマスト、 そこまではいい。だが艦首部が大きく取られており、そこには帆布を かけられた巨大な『何か』があるだけ。両舷に並ぶ備砲も艦後半部に 集中しており、しかもその数は平均的な巡洋艦と比較して半分以下。 そんな同じ艦形が三隻も。それぞれ竜騎士一個小隊が搭載可能という ことを差し引いても、マストが後方に下げられ上甲板の半分がフラットに された上にそこに件の『何か』があるだけというのは、用兵の常識から かけ離れたものだった。 「竜騎士を効率的に運用するため、にしても奇妙なフネですな」 「アルビオンはここ二十年以上冶金技術の向上など、貴族と平民が官民 一体となった研究を続けていると聞いておるからな。 あれもそのたぐいであろう」 「我が国を実験場に使うとは、あまり良い気分ではありませぬな」 「逆の立場であれば、余は同じことをしただろうがな」 王の言葉に、ハイデンベルグ侯爵は二の句が継げなかった。 艦隊が展開する上空に、マンティコア隊隊長であるカリンはいた。 傍らには副長のド・ゼッサールがいる。鍛え上げた体躯に威厳を持たせるための 髭面と近寄りがたい雰囲気だが、彼も家督を継いだばかりのまだようやく 大人の仲間入りをしたくらいの年頃だ。『烈風』カリンを頂点とする マンティコア隊を支える頭脳として、ド・ゼッサールはカリンとともに 空にあった。 「……来ませんな」 ド・ゼッサールのつぶやきを、カリンは聞き逃さなかった。 「物見の兵からの報告では、もうまもなく稜線から見える頃だな。 敵を確認次第お前たちは毒消しを飲め」 「隊長は?」 「あんなまずいもの飲んで戦えるか。まぁ、敵の射程を教えてくれたことには 感謝するがな」 魔法衛士隊統合参謀長のサンドリオンがこの場にいれば叱責された であろうその言葉を、ド・ゼッサールは飲み込んだ。王の後詰めとして 王宮にいる人間では、最前線まで声は届かない。そしてそれは伝説の 隊長であれば『毒』を喰らうこともないという、過信が呼び起こした ものでもあった。だが、一抹の不安がド・ゼッサールの顔に陰りを差す。 「……そんな顔をするな。ぼくの分は、もらえなかった誰かにやってくれ。 お守りにはなるだろう」 そう言って、カリンは油紙の包みをド・ゼッサールに渡した。 それは彼から割り当ての都合でもらえなかった新婚の魔法衛士に手渡される。 数の少ない秘薬を上位の将校から割り振ったため、魔法衛士隊でも下級の者には 配給されなかったのだ。もちろん、竜騎士隊や大多数の兵は言うに及ばず、 である。 そこに、前方から旗艦『ラ・レアル』に竜騎士が滑り込む。 その意味は明らかだった。 「来たか。全騎攻撃準備!パーティを始めるぞ!艦隊とともに前進し、 主砲斉射後に突撃する!」 カリンの号は、マンティコア隊だけでなくド・ワルド子爵率いる グリフォン隊にも響き渡った。同時に、彼らの上空に待機していた 第二、第三竜騎士大隊にも。第二竜騎士大隊を指揮するギンヌメール伯爵は、 麾下の竜騎士たちに命令する。 「我々は先行して上空待機。艦砲射撃に続いて上空から一気にかぶりつく! 距離一万からは敵の領域だ。炎や光が見えたらすぐ回避行動に移れ!」 「「了解!」」 大隊長の命令に士気旺盛な竜騎士たちの声が轟く。この戦いはただでは 済まない――皆そう考えていた。 「……敵影確認!まっすぐこちらに向かってきます!」 斥候の竜騎士からの報告からすぐのこと。太陽が高く昇る中、稜線の 向こうから巨大な影が現れた。馬よりも速い移動速度で、どんどんこちらに 近づいてくる。国境線である川に達するのも時間の問題だった。 「敵が国境を越えるまで手を出すな!両舷最大戦速!風石にありったけの 魔力を込めろ!後続の艦にも発光信号で伝達。急げ!」 「なんと……まがまがしい姿よ」 指示を飛ばすハイデンベルグ侯爵の後ろで、フィリップ三世は指揮所に 据え付けられた簡易の玉座から立ち上がる。『遠見』の魔法を映し出した その両目は、迫り来る『キョウリュウ』を捉えて離さなかった。 「俺も出る!ルーリー、ペラ回してくれ!」 「分かった。……重いんだよ……これは」 敵影見ゆの報に接し、武雄も発進準備をする。 本来なら始動機の転把(この場合はフライホイールに接続されている クランクハンドルのこと)を回して発動機を始動するが、ここではその機材が ない。そもそもタルブの村での機材そのものが、あかぎの頭の中にあった 設計図から部品をそれぞれ別々の鍛冶屋に頼んで作成したものを組み立てて 使っているのだ。なので、今はルーリーが『念力』の魔法で強制的に プロペラを動かして始動させることになる。 時間をかけてどんどん回してプロペラが十分空転したところで、武雄が 「点火!」の声と同時に計器板の点火スイッチを入れる。栄一二型発動機が うなりを上げてプロペラが力強く回り始め、ルーリーが髪を抑えつつ 機体から離れた。 「行ってくる!」 「アタシも最後の締めに参加する!気をつけてな!」 複座零戦がするりと動き始め、なだらかな草原を滑走し始める。尾輪を 浮き上がらせ、そのまま空に舞い上がる複座零戦。片脚ずつ主脚を格納するのを 見届けた後、ルーリーも待機していた竜騎士とともに前線の『ラ・レアル』に 合流するため飛び立った。 「敵、国境を越えます!距離八千!」 「アルビオン艦隊、戦列を離れます!」 「何だと?単縦陣のまま、敵前を横切るつもりか?だがこの距離では!」 その報告にフィリップ三世が驚きの声を上げる。その顔がさらに驚愕に変わる。 「な、何だあれは!?」 巡洋艦『イーストウッド』を旗艦とする三隻のアルビオン艦隊の艦首に あった帆布が取り払われ、隠されていたものがあらわになる。 それは――見たこともない長砲身の大砲だった。 「これより我が艦隊は丁字戦法にて敵『キョウリュウ』を撃滅する。 主砲覆いを外せ!目標、『キョウリュウ』!主砲発射後に竜騎士隊全騎発艦!」 アルビオン派遣艦隊司令官を兼任する『イーストウッド』艦長 サー・アレクシオスが命令する。 命令によって外される、主砲を覆い隠していた帆布。そこに現れたのは、 近代的なバーベットと、それに守られた三五口径二四サント単装砲。 二十年かけて工作機械の技術水準を引き上げ、さらに五年の歳月を費やして 製造された、オリジナルに劣るところこそあれ、多くの犠牲を払いながらも ハルケギニアの人間の手だけでようやく生み出した『畝傍』の主砲の コピーだった。 アルビオン王国にとって、エンタープライズ家より献上された 『場違いな工芸品』――巡洋艦『畝傍』は、まさに宝の山だった。 機関、砲熕兵器、装甲、どれをとっても今のハルケギニアの技術水準を 大きく上回り、これらをものにできればアルビオンの技術水準は大いに 向上し、ハルケギニアにおける軍事的地位も頂点に達することは確実だった。 だが、それらの複製には多くの困難が待ち受けていた。機関や砲熕兵器は 特殊鋼を鋳造したものを削り出した部品を多用しており、その製造は ゲルマニアの最新鋭の足踏み式旋盤などの工作機械でも到底不可能だった。 特に水力などを利用する大型旋盤の発展は不可欠で、このためにアルビオンでは 貴族、平民を問わず官民一体で地道な発展作業を続けることになった。 しかも、ロマリアに異端審問されないように内密に。 それは、旋盤で加工したより硬度の高い金属で新たな旋盤を作成し、 さらに硬度の高い金属を加工して……を繰り返す、地道な作業だ。 これの達成には二十年の歳月がかかり、平行して蒸気機関、砲熕兵器の 研究も進められた。特に主砲の材質については、持ち帰った主砲を試射した際に 新設した架台の強度不足と不適切な装薬の取り扱いで腔発事故を起こし、 破損した砲身を研究したことが大きかった。彼らの犠牲と献身により、 アルビオンは秘密裏にその技術水準において他国を圧倒することになる。 また最大の問題であった特殊鋼は、ハルケギニアでは未だ利用されていない 未知の金属であるニッケルに代わり、ゲルマニアで産出され、主に陶芸や ワニスの防腐剤に使われるボロンを添加することで比較的近い強度のものが 精錬できることが分かり、砲身の製造にはこれが用いられることになった。 それはメイジの魔法だけでは達成できない、平民の知識と経験、卓越した 職人技を併用した国家規模の努力の結晶だった。 『イーストウッド』級巡洋艦は、この主砲を運用する専用艦として 建造された。主砲が二四サントに決定されたのも、残された『畝傍』の 砲弾と装薬を使用できるようにするためだ。 本来は『畝傍』のようにフネを装甲で覆い、複数の主砲を搭載するべき なのだが、風石を使用するハルケギニアの帆走式軍艦では、積載重量が 過大となり、まともに飛べない有様となった。開発中の蒸気機関がものに なればその問題も解決されるのであろうが、それにはまだ時間を必要とした。 そのため、主砲を一門だけ搭載した艦を複数同時運用し、快速を生かして アウトレンジで敵を撃滅する方針がとられた。つまり、複数の軍艦を 一隻の大型艦として運用する方法をアルビオン空軍は選択したのである。 竜騎士の搭載は副次的なものだ。要するに、重量過大で積めなくなった ものを降ろして空いた部屋にとりあえず積み込んだ、ということだったが、 これは本級の意図を隠す絶好のカムフラージュとなったのだった―― 「主砲旋回急げ!トリステイン艦隊に発光信号!『我コノ一撃ヲモッテ勝利ヘノ号砲トナス』だ!」 サー・アレクシオスが命令する。『イーストウッド』級の主砲の旋回は 人力だ。時間はかかるが、現在ではそれに代わるものがない。実戦での 旋回は初めてのため、これが以後の研究課題となるだろうと彼は考えていた。 『イーストウッド』と僚艦『レーガン』、『ブッシュ』は、見事な 艦隊運動で『キョウリュウ』をその射程に捉える。 「撃てぃ!」 サー・アレクシオスの号令で、『イーストウッド』『レーガン』 『ブッシュ』が主砲を発射する。わずかな遅れはそれぞれの弾道を安定 させることになるが、彼らはそれを訓練で熟知していた。主砲が爆発 したかのような猛烈な火炎とトリステインの人間が今まで聞いたこともない 衝撃波を伴った轟雷のような音が轟き、音速を超えた砲弾が八千メイルの 距離を飛び越えて着弾した。大きく舞い上がる土埃。その光景にトリステイン艦隊は 言葉を失い……そして歓喜した。 「な、なんという……」 「ジェームズめ……こんなものを開発しておったのか」 トリステインの首脳部は、アルビオンが『たった三隻の巡洋艦』を 派遣してきたのではないことを知った。彼らは、この未曾有の事態に 『最新鋭の巨砲三門』を送ってきたのだと。 それと同時に、彼らはアルビオンが敵でないことを始祖に感謝した。 「全軍突撃!我らも早く攻撃に転じよ!」 フィリップ三世が檄を飛ばす。その声に呼応するように、旗艦 『ラ・レアル』以下、トリステイン艦隊が最大戦速で距離を詰める。 やがて……土埃が晴れた。 「バカな。直撃があったはずだ……くそっ。手を休めるな!次弾装填! 次は虎の子の徹甲弾をくれてやれ!」 『遠見』の魔法を使って状況を確認したサー・アレクシオスは手を休めない。 発光信号で命令が『レーガン』以下に伝達される。だが、そのとき、 彼の背筋に悪寒が走った。 「いかん!下げ舵六〇!総員、何かにつかまれ!」 サー・アレクシオスは『イーストウッド』を急速降下させる。 追随する『レーガン』。だが、最後尾の『ブッシュ』は遅れた。 それまで『イーストウッド』がいた場所を、赤い輝きが貫く。それは なぎ払うように横に滑った。そして……『イーストウッド』を轟音と 衝撃波が襲う。 「な……アーガス……」 サー・アレクシオスは、兵学校の同期であり、『ブッシュ』艦長だった 親友の名を呼ぶ。『ブッシュ』がいた場所は――燃え盛る炎が落ちていく だけになっていた。『キョウリュウ』の攻撃であることは、明白だった。 「『レーガン』、前に出ます!」 「何だと!?デビアス、俺の盾になるつもりか?!」 サー・アレクシオスが歯がみする。『レーガン』も、さっきの攻撃を 完全に回避できたわけではなかった。マストが折れ、速力が落ちていることは 傍目にも分かった。やがて、『我先行ス。狙イ撃テ』の発光信号が 『イーストウッド』に届けられた。 「マービィ!生きてるか!」 「カニンガムか……エメラルド小隊は俺たち残して全滅だ。発艦中に 母艦がやられた」 『イーストウッド』から発艦したガーネット小隊の隊長、カニンガム大尉が、 『ブッシュ』に搭載されていたエメラルド小隊の隊長、マービィ大尉たちと 合流する。 「ジャーバス、無事だったか。ミネルバ中尉も」 「グレッグか。何とかな」 「ああ、あたしらが発艦した直後、フネを赤い光がなぎ払ったんだよ。 それで終わりさ」 グレッグの言葉に、ジャーバス少尉とミネルバ中尉が憔悴した声で 応えた。 「けど、このままじゃ終われないねぇ……」 ミネルバ中尉が憎々しげに『キョウリュウ』をにらみつける。 アルビオン竜騎士隊でも珍しい女竜騎士は、今怒りに震えていた。 「お前の言うとおり、このままじゃ終われないさ。 カニンガム。俺たちはこのまま突撃する。ヤツに杖を突き立てないと 気が済まん」 「分かった。援護する。だが、足は俺たちの方が速いぞ。遅れるなよ」 カニンガムが言う。カニンガム大尉率いるガーネット小隊は風竜を、 マービィ大尉率いるエメラルド小隊と、『レーガン』に搭載されている トパーズ小隊は火竜を騎竜としている。その速力差をカニンガム大尉は 心配するが、マービィ大尉はふっと笑った。 「誰に向かって言っている。ミネルバ、ジャーバス、借りは倍にして返すぞ!」 「「アイ・サー!」」 「このままでは……ぼくの『カッター・トルネード』で先制する! 攻撃後、全騎突撃!」 カリンが呪文を唱え始める。それを援護する陣形を組むマンティコア隊。 そのさらに上空から、太陽の中から飛び出すように黒い影――複座零戦が 逆落としに飛び出した。 武雄は九八式射爆照準器からはみ出すくらいまでに、これまでの攻撃で いびつに擬装用皮膚がはげ落ちた『キョウリュウ』に近づき、20ミリ機関砲を 発射する。逆落としの対地攻撃のため、一航過で緩降下に移行して再上昇するが、 そのとき、通信機に怒りと困惑の声が響いた。 『海軍!我々は味方だ!』 「……………………。あいにくだが、俺たちはあんたらを沈めなきゃならねえ」 武雄が憎々しげに応える。今の一撃は頭部天井の乗降ハッチを狙った。 うまくいけば、もう彼らの姿を表に出すことはない。 『ふざけるな!海軍!何のつもりだ!』 「あんたらがあかぎの呼びかけに応えてりゃ、こんなことにはならずに 済んだかもしれないんだよ!」 『な……貴様ぁ何の』 武雄は通信を強制的に打ち切る。その代償は、複座零戦の真後ろを 通りすぎた光。さっきのもそうだが、どうやらあかぎの悪い予感が 当たったらしい。三十年ぶりの実戦に震える機体をなだめつつ、武雄は あかぎに回線を繋いだ。 「あかぎ、聞こえるか?ヤツの武器は原子力光線砲だ。真っ赤な光が 口から照射されている」 『原子力光線砲だったら、目には見えないわ。それはたぶん照準用の 探照灯ね。光とわずかにずれた場所が攻撃されているから、気をつけてね。 私たちももうすぐ到着するから。無茶はしないで』 「了解!……さて、役者が揃うまでお膳立てするか」 武雄は不敵に笑う。空は徐々に暗くなり始めている。 日食が始まったことを示していた。 「……な……あれは、いったい何ですか?空に軍楽隊でも連れてきて いるんですか?それに、あの攻撃は」 「おちつけ、ド・ゼッサール。あれはタルブの『竜の羽衣』だ。 あんなに機敏に動けたんだな……。しかも、今の攻撃は……」 見たこともない光景に慌てるド・ゼッサールを、カリンが制する。 だが、カリンも『竜の羽衣』こと複座零戦の、今まで見せたことのない 機動に言いようのない気持ちがわいてきていた。 「ぼくたちも負けるわけにはいかない!ぼくが先制する!まもなく艦隊の 砲撃があるからそっちにも気をつけろ!」 「隊長!敵がこっちに!」 「躱せ!」 カリンの命令で急遽全騎散開する。その直前まで彼らがいた場所を、 赤い光が貫いた。 赤い光が突撃するアルビオン竜騎士隊をなぎ払う。後ろを振り返る いとまもなく、グレッグは戦友の骨を拾うことすらできない戦場に 歯がみした。 「コンロッド、生きてるか」 「ああ。なんとかな。今のでグレゴリーとギブスンがやられた。 このままじゃ、エメラルド小隊の援護どころか俺たちが全滅するぞ」 コンロッドがそう言ったとたん、頭上を軍勢が通り過ぎたような轟音が 通過する。『イーストウッド』と『レーガン』が主砲を発射したのだ。 残念ながら命中せず、『キョウリュウ』の後ろに土埃の柱を高く舞い上げた だけに終わった。反撃の赤い光を『イーストウッド』は回避するが、 『レーガン』が回避しきれずに徐々に船足を落としていた。 「くそっ。まとめて焼かれたトパーズ小隊よりマシって言うのかよ? 『竜の羽衣』もすごいのは分かったが、あんまり攻撃が効いてるようには 見えないぞ」 「無駄口を叩くな!まもなくトリステイン艦隊も砲撃を開始する。 死んでいった仲間の無念は、俺たちで晴らすんだ!」 カニンガム大尉の叱咤が落ちる士気を食い止める。今の彼らにできることは、 一刻も早く『キョウリュウ』を沈めることだけだった。 「一カ所に固まるな。まとめてなぎ払われるぞ! 小隊単位で飽和攻撃を仕掛ける。第一小隊、私に続け!」 ギンヌメール伯爵が、直属の小隊を引き連れて攻撃を開始する。 その眼前で『キョウリュウ』を竜巻が包み込んだ。マンティコア隊隊長の 『烈風』カリンが、風のスクウェアスペル『カッター・トルネード』を 放ったのだ。真空の層を挟み込んだ荒れ狂う竜巻が『キョウリュウ』を 翻弄する。だが、その重量からか、表面の擬装用皮膚をはがしただけで 倒すには至らなかった。 「烈風どのの魔法でもダメか……。だが、なんとまがまがしい姿よ。 鉄の竜とはよく言ったものだ」 『キョウリュウ』の擬装用皮膚は今の魔法でずいぶんとはがされ、 その下にあった均質圧延装甲の無塗装の地肌が大きく露出している。 その頭部には、武雄の攻撃でうがたれ、破壊された跡が目立つ。武雄が 頭部に集中して攻撃していることを、ギンヌメール伯爵は奇妙に思った。 伯爵は、武雄が『キョウリュウ』の頭部に装備された無線アンテナや 聴音機、潜望鏡などの『目』や『耳』となるもの、そして搭乗ハッチのような 『中に人が乗っていることを知らせる』ものを破壊していることは知らなかった。 もし、伯爵が無線を傍受することができたなら、『キョウリュウ』に 搭乗している帝国陸軍戦車兵たちの怨嗟の声を聞くことができただろう。 だが、それは叶わぬことだった。 「陛下!全艦、敵を射程圏内に捉えました!」 「……我が方の損害は?」 「現在二隻。ですが、総員士気旺盛。いささかの問題もありませぬぞ!」 ハイデンベルグ侯爵が胸を張って王の問いに答える。彼らが乗る 『ラ・レアル』とて、無傷ではない。フィリップ三世は簡易の玉座から 立ち上がると、『キョウリュウ』をにらみつけ、杖を向ける。 「全艦攻撃態勢!敵を撃滅せよ!」 王の号令の元、残存全艦の左舷放列が火を噴いた。 「ふぅ。今の竜巻……あの隊長さんのか」 武雄は乱れた気流から脱し、一息つく。上昇中に見た、マンティコア隊が 隊長を守る布陣を取っていたことから、今の竜巻はカリンが放ったものだと 推測する。ようやく射程に捉えたトリステイン艦隊も砲撃を開始するが、 効果はないように見えた。逆に『キョウリュウ』の反撃で、爆散する 戦列艦すらある。一方で突撃した魔法衛士隊や竜騎士大隊も友軍の砲撃を 見て避けているわけで、通信技術が確立していない戦場の混乱は武雄には 手に取るように分かった。 「骨董品の大砲じゃ通じるわけないが、だからと言ってお前ら撃つな、 なんて言えるわけないしなぁ……」 武雄は再び高度を取る。あかぎから、被曝しないためには放射能が 存在する場所に長居しないこと、汚染されたものを口にしないこと、 そしてなにより汚染された空気を吸い込まないことだと聞いている。 甲状腺保護にヨウ素錠剤は服用したものの、自分たちはあまり長生き できないな、と考え、ふっと笑った。 「……何考えているんだか。俺もヤキが回ったか?」 そのとき、武雄の視界の端にきらりと光るものを見つける。 それが何であるか、武雄にはすぐに分かった。 あかぎは、落下傘降下高度で飛行する連山から落下傘降下して本陣近くの 湖に降り立った。あかぎを降ろした連山はそのまま『キョウリュウ』 目指して飛び去っていく。着水したあかぎは落下傘を投棄し、湖の周辺に 誰もいないことを確認すると、武雄たちいわゆる『竜の羽衣』の乗り手 ――タルブ義勇軍の航空管制を開始する。 あかぎは暗くなった空を見た。日食は進み、もうそれほど時間は残されて いないことは明白だった。 「燕ちゃんたち、遅れないでね」 あかぎには祈ることしかできなかった。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)
https://w.atwiki.jp/femblem/pages/29.html
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3776.html
「その肉を食らえば不老不死となり、死ぬほどの傷を受けても必ず治る、とか」 モット邸の地下大浴場で、乱馬とルイズはシエスタを救い出した。だがそこには、異様なものがいた。 『なりそこない』と呼ばれる化け物と、『波濤』の二つ名を持つ中年貴族、ジュール・ド・モット伯爵。 多くの平民の娘を攫い、なぶりものにしていたという噂だが……まさか。 「モットの傷が、消えた……!」 「てめえ……食ったんだな? その《人魚の肉》とやらを!」 ひへっ、とモットが笑う。目がぎょろりと大きく、牙の並んだ口から吐く息は魚臭い。 「ああ、食ったさ。お蔭で私はこの通り、不老不死の身となった。 幸い、私は適性があった。水のトライアングル・メイジであることがよかったのかも知れぬ」 ルイズが青い顔をして、乱馬にしがみつく。剣を構える乱馬の顔にも脂汗が滲む。 「《人魚の肉》は人体を大きく変化させる秘薬ゆえ、毒性も強い。 適性のない者が口にすると、毒が回って即死するか、この通り化け物になってしまうのさ。 理性も知性もない、ただ生き続け、人肉を求めて暴れ続ける、醜い怪物……『なりそこない』に」 浴槽の中では、『なりそこない』が蹲っている。そいつは切り落とされた右手を拾い、元通りにくっつけて立ち上がる。 乱馬は失神しているシエスタにメイド服を被せ、ルイズに預けて下がらせる。 ここは地下、出入り口はモットたちの背後にある一箇所のみ。どうにかこの場を切り抜けねばならない。 「人肉……! じゃあ、その怪物は、てめえが作った失敗作か!」 「まあ、そんなところだ。昨日は随分ご活躍だったね、ミス・ヴァリエールにミス・ランマ。 噂どおり女から男に変身するとは、興味深いが……いかに公爵家の令嬢とその従者でも、 貴族の邸宅に武装して侵入するとは、無礼ではないかな? どうせそこのメイドを取り戻しに来たのだろう、君らも密かに始末させてもらおう」 モットは自分の杖を振り上げ、浴槽の湯を何条もの槍に変えて放った。 「ルイズ、危ねえっ!」 乱馬はルイズとシエスタを抱きかかえ、超人的な跳躍でモットの攻撃を回避する。 直撃すれば、人間の体など容易く貫くであろう威力だ。 隠し持っていたナイフを数本、顔面めがけて投げつけるが、奴らは不死身だ。 距離を取ればモットの魔法が、近付けば怪物の爪が襲ってくる。 「これだけの『水』がある場所で、『ゼロ』と平民がトライアングル・メイジに敵うはずはなかろう? 大人しく殺されて、私どもの昼食になってくれんかなあ。証拠も残さず食べてやるよ」 乱馬が、ぴくっと反応する。 「私ども? ……てめえも人食いかよ! ふざけんなぁ!!」 「不老不死になったはいいが、不完全でね。人肉や《人魚の肉》や、『なりそこない』の肉を食わないと、 飢えがどうしても満たされないんだ。頼むよ、数ヶ月に一度のことだからさあ」 モットのおぞましい答えに、震えながらルイズもたずねる。 「……モット、あんたがそこの『なりそこない』を食べないのは……まさか」 「あれは、私の妻だ。死に病に取りつかれているときに、とある筋から《人魚の肉》を手に入れた。 せっかくだから、私も食べてみたら、この有様だよ。それに段々、私も妻に近づいてきた……」 その時、一陣の風が吹き込んできた! 「『エア・カッター』!!」 「ぐげっ」 水平に放たれた風の刃は、モットと妻の背中に深手を負わせる。ばしゃんと二匹は前のめりに倒れた。 浴場の扉を開けたのは、見覚えのある男。 「ワルド!! ど、どうしてここに?」 「間に合ったか、なによりだ。枢機卿からモット伯の様子がおかしいと聞いてね、調査を始めていたんだ。 そうしたら、君たちがモットの屋敷に行ったというじゃないか。急いで駆けつけたんだよ。 まったく、僕に一言告げてくれればよいものを」 これは強力な助っ人だ。乱馬の顔にも、強気な笑みが浮かぶ。 「へっ、シャクだけど助かったぜ。あいつらはもう……化け物だ」 「……ああ。これが、こいつのやっていたことだ。 好色な貴族を演じて平民の女を集め、密かに食料や人体実験の材料にしては、始末していたわけだ」 「じ、人体実験……!?」 むくりとモットが起き上がる。背中の傷口は、どんどん塞がっていく。 「ひへっ、そうだよ。水の系統の本質は『心身の変化』、その知識で研究を続けておったが、けっこう苦労していたんだ。 《人魚の肉》はそのままでは毒が強くて、なかなか不死身にはなれないし、調理したりしてみても毒は消しにくい。 毒がなくなるとただの魚の肉ってことだし、毒にも薬にもなるとは、このことよのぉ」 「……許さない。命を侮辱しているわ、あんたの行為は」 ルイズの感想に、ワルドも肯く。 「それに奴は『売国奴』だ。アルビオンの反政府勢力《レコン・キスタ》との繋がりも掴んだ。 奴らが化け物になったのも、おそらくは……」 「よく調べ上げていたもんだ。その通り、私は《レコン・キスタ》の一員さ。 人魚が漂着したというダングルテールには、アルビオンの移民が住み着いていたからなあ」 話を聞き終わり、ワルドが杖の先を、すっと化け物たちに向ける。 「事情は分かった。お前たちはこの場で始末する、モット夫妻」 「始末? あいつらは不死身なのよ、ワルド!」 「さっきモットの部屋に忍び込んで、研究記録を漁ってみた。胸糞が悪くなるようだったが、弱点は見つけたよ」 「それはいったい……」 にっ、とワルドが笑う。戦い慣れした、精悍な鷹のような顔つきだ。 「簡単だ。首を刎ねるか、灰になるまで焼き尽くすかすれば、あれらでも死ぬ。 僕が風の刃で、奴らの首を刎ね飛ばせばいいということだ。 ミス……今は男だが、ミス・ランマ。危険だからルイズとメイドを連れて、下がっていたまえ」 化け物とは言え、殺しはしたくない乱馬にとっては、悔しいようなほっとしたような話だ。 だが、気にかかることがある。 「なあ、ひとついいか? あんた、わざわざモットの部屋で調べものをしてから、ここへ来たってのか?」 「いや、今まで『もう一人の僕』がモットの部屋にいたのだよ。 まあ見ているがいい、風の系統の上位魔法、『遍在(ユビキタス)』を……」 ワルドが呪文を唱えると、ズズッと彼の姿が増えていく。たちまちモット夫妻の前に、5人のワルドが現れた。 「「風はあらゆる場所に吹き渡る。その系統をきわめた者は、自らの分身をも作り出せるのさ! 喰らえ化け物ども、『ライトニング・クラウド』!!」」 ワルドたちが杖から稲妻を放ち、浴槽の中の怪物たちを感電させる!! 「「が・ああああああ!!」」 「今だ、『エア・カッター』!!」 ドッ、と鈍い音がして、二匹の化け物の首が飛んだ。 血飛沫が飛び散り、バチャッと首のない死骸が浴槽に倒れる。 「……し、死んだの?」 「ああ、動かなくなった。……だが安心はできんな、あとで焼いて灰にしよう。 危険な存在だから、アカデミーに渡すわけにもいかないな。 このあとの処理は、僕が枢機卿に連絡して詔勅を頼む。部下にこの屋敷を制圧させておくよ。 ルイズ、ミス・ランマ、君たちはメイドとともに、急いで学院に帰りたまえ」 乱馬は唇を噛み締め、拳を握り締める。 「《レコン・キスタ》って奴らは、こんな酷いことをする連中なのか……」 「ああ、そういう奴らさ。六千年続いた始祖ブリミル以来の王権を否定し、異常な革命思想に凝り固まっている。 それにアルビオンのみならず、ハルケギニア全土の反王権貴族を繋ぐ秘密結社でもある。 実を言えば、僕も昔勧誘されたんだが、断ったよ」 ワルドが眉を吊り上げ、胸に下げた銀細工のロケットを握り締める。 「亡くなった両親を生き返らせ、永遠の命を与えてやろう、などとぬかしたのでな!! こんな事だったか!!」 やがてワルドの部下たちがモットの屋敷に突入し、使用人たちの身柄を確保する。 後始末を彼らに任せ、らんまとルイズは、シエスタとともに学院に帰還することにした。 ワルドがねぎらいの言葉をかけ、今後の行動について連絡する。 「ルイズ、ミス・ランマ。とにかく今日は休み、明日の朝ラ・ロシェールへ出発しよう。 そこからアルビオンのスカボロー港へ行き、ニューカッスル城へどうにかして潜入する。 途中で《王党派》と接触できれば、ニューカッスルまで直行できるかも知れんが……」 そして、その日の夜。らんまは夕食を済ませてからも厨房に居座っている。 シエスタもマルトーも大歓迎だ。心配したルイズもついでに来ている。 「……ちぇっ、フーケの時は良牙に助けられたし、今回はワルドにいいとこを持って行かれちまったな。 俺が自力で倒したのは、まだギーシュだけかよ。面白くねえ……」 「いいんじゃない、トライアングル・メイジに武器だけじゃ、対抗するのは無理な話よ。 私の護衛としてはよくやったわ、ランマ。かっこよかったわよ」 「そ、そうですわ! ランマさんは、私の命の恩人です! 人の命を奪うより、命を救うほうが尊いに決まっていますわ!」 「おうよ! すげえじゃねえか、貴族の陰謀を暴いて大立ち回りをやらかして、シエスタを連れ戻してくるなんてよ! やっぱりおめえは『我らの剣』だぜ、ランマ!!」 ルイズ、シエスタ、マルトー。三者三様に、口々にらんまを誉めそやす。不機嫌だったらんまは自信を取り戻した。 「はは、くすぐってえな。じゃあシエスタさん、明日の朝は早めに出発するんで、よろしく。 ご主人様にくっついての旅行で、一週間ぐらい留守にしますから」 「まあ、大変! 一日分でもお弁当作りましょうか?」 シエスタに世話を焼かれるらんまを見て、今度はルイズが不機嫌になる。 「……ふんだ、モテモテねランマ。女のくせに、女の子とベタベタしちゃって」 「へっ、妬いてんのかよご主人様っ。男嫌いの女好きだもんなっ」 「え゛、ミス・ヴァリエールにそんなご趣味が……」 「ちちち違うわよっ! ランマ、あんた帰ったらしばらくご飯抜きっ!」 「いいですわよー、シエスタさんに食べさせてもらいますもの、ほーほほほほ」 ぷち、とルイズが軽く切れた。 「でええい、あんたはもっと男らしくしなさいっ!! おおおお男女!!」 「俺はおと……女でいっ!!」 「お二人とも落ち着いて、何を言っているのかよく分かりませんわ」 ギャーギャー騒がしくするうちに、ルイズもらんまもいつもの調子を取り戻す。 いよいよ明日から、アルビオン潜入の秘密任務が始まるのだ。 翌朝。ルイズとワルド、それにらんまは、学院の正門前に集合し、ラ・ロシェールへ出発した。 乗るのは馬ではなく、ワルドのグリフォンだ。これなら馬よりよほど速いし、揺れも少ない。 「でも大丈夫かな、三人も乗っけてよー」 「ハハハ、僕はともかく、君たち二人は羽のように軽いから大丈夫さ! 振り落とされないよう、僕にしっかり掴まっていたまえ!」 「遠慮しとくぜ。デルフも持ったし、一応良牙もブタのまま連れてきたけど、まだ目を覚まさねえな」 ひょいとらんまが、荷物から『Pちゃん』を取り出す。それを見て、ワルドが頭を掻く。 「いやあ、まさかそのブタが、あの無礼なバンダナ男だったとはね。 ミス・ランマの友人に悪い事をした、ラ・ロシェールで治療薬を買うよ。 どうせ『スヴェルの夜』までには少し間があるし、英気を養ってからアルビオンへ行くとしよう」 「そうね、モットの事件で疲れているし。軍資金は大丈夫なの?」 「任せておきたまえ、僕のルイズ。一番上等な宿屋を取ってあげるさ」 その頃、トリステイン魔法学院の、タバサの部屋では。 「タバサ! ねぇタバサ! シルフィードを出して、ルイズたちを追いかけましょうよ!!」 「私も疲れている。休ませて」 タバサはガリア王国の『北花壇騎士』であり、無理難題じみた困難な任務にいつも駆り出される。 昨日も地下の非合法カジノに潜入し、その謎を暴いてきたところなのだ。 しかしキュルケは諦めない。 「むうーっ、あのワルド子爵っていい男が気になるのよ! タバサは興味ないの?」 「ない」 「……そうねえ、じゃあ『はしばみ草』を一か月分プレゼントするから、どう?」 「分かった」 色気より食い気だ。あっさりとタバサはOKし、窓の外に使い魔の風竜シルフィードを呼び寄せる。 と、そこへ現れたのは、金髪の色男ギーシュ・ド・グラモンだ。 「やあ諸君、おはよう! こんな朝早くからお出かけかい? どうせルイズとミス・ランマを追いかけるんだろ、僕も連れて行ってくれないかな? このヴェルダンデくんの鼻があれば、彼女たちを追跡するのは容易い事さ」 「でえっ、ギーシュ……ま、いいか。じゃあ、ギーシュもシルフィードに乗りなさいな」 「ヴェルダンデは別行動させて。重いから」 「きゅいきゅい!」 かくして、三人はルイズたちを追跡する事になった。 さて、目指すアルビオン大陸のニューカッスル城では、《レコン・キスタ》による攻撃が激しさを増していた。 巨大戦艦『レキシントン』を始め、アルビオンの誇る強大な空軍力はことごとく彼らの手中に落ち、 全土からこの地に集結した軍勢は万を持って数えるほどだ。 テューダー王家の皇太子ウェールズは、城の窓辺から外を眺め、端正な顔に苦渋の色を浮かべる。 「残るは僅か300名と、この小型船『イーグル』だけか。絶体絶命だな」 「否! ウェールズよ、戦は数ばかりが勝ちに繋がるとは限らんぞ。 いつ如何なる時も勝機を見出し、あらゆる汚い手段を用いても生き抜くのじゃ! 我らアルビオンのテューダー王家は、六千年の長きにわたりそうやって存続してきたのじゃからのう! ……あ、それビンゴ」(パチッ) ウェールズは、苦渋の色をより深め、背後の父につっこみをいれる。 「父上……お言葉はご立派ですが、何をしておいでで?」 「侍従のパリーと賭けチェスをしておる。ほーれ、そちの負けじゃー」 「陛下、ご無礼ながら先ほど、イカサマをなさいましたな?」 「なーんの事じゃー? バレねばイカサマではないわ、見破ってみい。 次はポーカーで勝負しようかのう、ひょーひょひょひょひょ」 彼こそはアルビオン王国の国王、ジェームズ一世『博打王』。無類の博打好きで悪名高い。 老いたりとは言えその眼光は炯炯として、感情を表に出しやすく、性格はせこくて馬鹿。 対面すればその独特の顔は、人を笑わせずにはおれないものがある。 ウェールズは振り返り、怒りに震えてゲーム盤をばんと叩いた。 「ち・ち・う・え!! あーなたがそーんな調子だから、貴族どもに侮られ、 今日のような国家存亡の危機を招いたのですぞ!! 猛省してくださいっ!!」 「ふふふふふ、博打とは怖いものよのう。国庫は火の車が猛回転しておったし」 「その上、相場に陛下自ら手をお出しになるからですぞっ。とほほほ、屋台骨が腐っておりましたわい」 国を憂い嘆く老侍従のパリー。ふー、とウェールズは溜息をつき、自力で何とかする方法を思いつく。 「パリー、将兵の中から人相の良くないのを集めて来い。『イーグル』を海賊船に仕立てて、物資を奪ってくる。 我らの先祖もそうやって急場をしのいだものだからな」 「承知いたしました、ウェールズ殿下」 「ほほほ、頼もしいぞ、わが息子よ! 天晴れ天晴れ」 はしゃぐ博打王ジェームズに、ウェールズとパリーは、もう一度盛大な溜息をついた。 (続く)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3481.html
前ページ次ページSnakeTales Z 蛇の使い魔 一段ごとにしなる階段を上っていく。 階段の隙間から、闇夜の眼下に、ラ・ロシェールの街の明かりが見えた。 「命のともし火だな。」 「…私はこれを背負っているのね。」 ワルドとルイズが呟く。 また足を動かす。今度は誰も話さない。 だが、少し変だ。 足音がひとつ…多い。 スネークが後ろを振り返る。 先ほどフーケのゴーレムの上にいた仮面の男が飛び上がり、ルイズの背後に立った。 「ルイズ!」 「え?」 仮面の男がルイズを抱え上げる。 スネークがナイフを引き抜き、切りつける。うまく、仮面の男のみを切りつけた。 しかし、浅い。スネークを蹴り飛ばす仮面の男。 その隙を突いてワルドが風の槌で男を殴りつける。 全身を強打し、ルイズから手を離す男。 しかし、その手放した位置が悪い。ルイズが空中に投げ出される。 ワルドが飛び上がり、ルイズを抱きとめた。 「先に行け!」 スネークが叫ぶ。 ワルドはルイズを抱えたまま、階段へ戻って、走り出した。 スネークが男とワルドの間に割り込む。 対峙する二人。 仮面の男が杖を引き抜いた。 詠唱を開始する男。 空気が冷たく感じる。男が呪文を完成させる。 「相棒!俺を盾にしろ!」 呪文が来る! 盾になるものはデルフしかない。 デルフを引き抜き、盾のように構えるスネーク。 「『ライトニング・クラウド』!!!」 呪文の正体に気がついたデルフが叫ぶ。 空気を裂き、男の体から稲妻が走る。 デルフによって捻じ曲げられた稲妻が、スネークの左腕と腰を貫く。 「ぐぉおおおおおお!!!!!!!!!」 人体が焼けるにおいがする。 左腕が火傷を負っていた。 「『エア・ハンマー』だ!!気をつけろ、相棒!!」 間髪入れずに男が呪文を詠唱する。 詠唱が完成する前に、ソーコムを右腕のみで迎え撃つ。 ダンッ!! 発射した一発が男の額を貫く。 力なく倒れ、奈落の底へと落下していった。 膝を突くスネーク。息が荒い。 「よう相棒、まだ生きてるか?」 「もちろんだ。」 「被害は?」 「左腕に火傷。それと、ステルス迷彩が電撃で壊れた。」 ステルス迷彩を取り出すスネーク。 ステルス迷彩は黒くこげていた。 これでは二度と使えないだろう。 ただ、それのおかげで腰にダメージはない。 「さっきの電撃は『ライトニング・クラウド』だ。 『風』系統の強力な呪文だ。アイツ、相当の使い手のようだな。」 先ほどの電撃を思い出す。 もう喰らいたくない。 「急ぐぞ、デルフ。」 「おうよ。」 痛む左腕をかばいながら、階段を上り始めた。 階段を駆け上がり、一本の枝を進むと、一艘の船が停泊していた。 船上ではルイズとワルドが待っていた。 「スネーク、大丈夫!?」 「火傷を負った。」 左腕を捲り上げる。 傷口の一部が炭化している。 自然回復は望み薄だ。 「ふむ、水の治療薬を分けてくれないか?」 ワルドが船長らしき平民に話しかける。 「お安い御用でさ。」 船員が缶を手渡す。 これが治療薬だそうだ。 字が読めないため、言われない限り何なのか分からなかった。 「これを塗れば、一発でさ。」 「すまない。」 礼をいい、船に乗り込む。 船が『風石』によって浮かび上がる。 帆と羽が風を受けて動き出した。 出港だ。 船倉でスネークは火傷の治療を行っていた。 その治療薬の効果に驚くスネーク。 「みるみるうちに回復していくな。」 完治はせずとも、動かせるようにはなった。 さすがは魔法、か。 「到着は明日の昼だ。寝ておきたまえ。」 「すまない。」 ワルドの言葉に素直に従う。 疲れきった体を横たえ、眠るスネーク。 ルイズが難しい顔でスネークを見つめる。 「仮眠を取れるときに取る。これは戦士の基本だよ。 君も寝ておきなさい。」 ルイズもワルドに言われ眠った。 翌朝。 扉の隙間からまばゆい朝日が差し込む。 その光で目を覚ますスネーク。 一緒にルイズも目を覚ます。 ワルドは既に目を覚ましていた。 「よく眠れたかね、どうだ気分は?」 「振動ベッドで熟睡させてもらった。一人で眠るにはもったいないくらいだ。」 もちろん、硬く、揺れる床のベッドなど気持ちのいいものではない。 朝日を浴びに、外へ出る。 天気がいい。下は雲だらけだが、上は抜けるような青空だ。すがすがしい風が顔を撫ぜる。 「そろそろアルビオンが見えるはずだ。。」 「下は雲だらけだぞ。一体何処に大陸がある?」 「何処見てるのよ。アルビオンはあっち。」 ルイズが空中を指差す。指差す方を仰ぐスネーク。 そこには巨大な雲しかないはずだ。 だが、その中にアルビオンは存在した。 「大陸が…浮いている…。」 「浮遊大陸アルビオン。その名の通り、宙に浮いた国。 月に何度かハルケギニアの上空に飛来するのよ。 それと、アルビオンは『白の国』とも呼ばれているわ。 大陸から溢れた水が霧のようになって、アルビオンの下半分を覆うから。」 ルイズが平らな胸を張って説明する。 スネークに彼の知らないことを教えるのが嬉しいようだ。 「それにしても驚いた。」 「どうして?」 「大陸が浮いているなんて事、俺の常識からは考えようもなかったもんでね。」 貴重な体験をした。この光景を目に焼き付けておこう。 「右舷上方・雲中より、アンノウン接近中!」 レッドアラート。鐘楼の見張りが叫ぶ。 右舷上方から、この船より一回り大きい黒船が近づいてくる。 舷側の穴からは大砲が顔をのぞかせている。 「大砲なんてあるのか。」 「感心してる場合じゃないわよ!」 のんきなスネークと焦るルイズ。 ワルドは表情を変えない。真っ直ぐと黒船を見つめている。 「反乱勢…貴族派の軍艦かも知れないな。」 「旗は掲げていないようだぞ。それでも軍艦と言うのか?」 「旗を掲げていない…、空賊かしら…。」 ルイズがかすかに震える。 ワルドがその肩を抱いた。 ドーンッ!!! 黒船が威嚇射撃をする。 「全員抵抗するな!抵抗したものには容赦しない!」 黒船からメガホンを持った男が大声で怒鳴った。 こちらに向かってフリント・ロック銃や弓が構えられ、鉤つきロープがルイズたちの乗った船の舷縁にひっかかる。 それぞれ獲物をもって、屈強な男たちがロープを伝ってやってくる。 「パーレイ…って通じないか?とにかく、勘弁してくれ。」 早速服従するスネーク。 その頭を思いっきりルイズが叩いた。 「いきなり負けてんじゃないわよ!」 「『匹夫の勇、一人に敵するものなり』」 文句も言わず、それだけ言うスネーク。 「何それ?」 「無闇に戦いを求める愚か者の勇気は、一人の敵を相手にするのが精いっぱい、と言う意味だ。 まずは数を考えろ。これだけの武装した相手を無傷で倒すなど、不可能な話だ。」 正論で返され、ぐうの音も出ないルイズ。 先ほどまで騒いでいたワルドのグリフォンも静かになっている。どうやら魔法で眠らされたようだ。 「船長は何処だ!?」 派手な格好の一人の空賊が降り立ち言った。 肌は日焼けだろうか、赤銅色で、随分たくましい胸板だ、 シャツは油で黒く、胸をはだけさせていて、左目には眼帯。 どうやら空賊の頭らしい。 「わ、私だ。」 声を上ずらせながら船長が手を上げる。 髪の毛から足の指まで小刻みに震えている。 頭が曲刀を船長の喉下に突きつける。 「船の名前と積荷は?」 「ト、トリステインの『マリー・ガラント』号。積荷は硫黄だ。」 頭がニヤリと笑い、船長の帽子を取り上げ、自分がかぶった。 「この船は俺たちが買った!代金はお前らの命だ!」 今度は屈辱で震える船長。 それから頭は甲板のルイズとワルドに気がついた。 大股で近づく頭。 「貴族まで乗せているのか!こいつぁいい!身代金をたんまりせしめてやる!」 頭がルイズの顎を手で持ち上げる。 「たいした別嬪だな。こいつは俺たちの船で皿洗いかもな!」 男たちが下品に笑う。 ルイズの目が怒りに燃える。 頭の手をぴしゃりと跳ね除け、にらみつけた。 「生意気な餓鬼だな。少しは立場をわきまえろ。」 「下がれ、下郎。」 「はっ!威勢だけはいいじゃねぇか!気の強い女は嫌いじゃないぜ!」 怒りに震えるルイズ。 スネークの手を引き、前に突き出し、命令する。 「スネーク、やっちゃいなさい!」 「あぁ?なんだおめぇは?」 「あー、いや俺はただの平m「私の使い魔よ!」……。」 さらに男たちが笑う。 「人間が使い魔?これは笑える!いいジョークだ!」 「トリステインの貴族はいよいよ人間まで使い魔にしやがった!」 口々にスネークをののしる。 スネークは空賊を気にしてはいないが、ルイズに呆れていた。 余計な情報を与えた。まったく、厄介な事を…。 「おい、野郎ども!この使い魔殿は船首の船倉に、こちらの貴族は船尾の船倉にお連れしろ!」 前ページ次ページSnakeTales Z 蛇の使い魔